CD「A LA CARTE」佐藤紀雄・山下俊輔

3,300円(内税)

購入数

01 愛の喜び
02 主題と変奏
03 ハンガリー舞曲1番
04 ショパンの主題による変奏曲より
05 揺れ動く不安と夢の球体
06 ゴールドベルグ変奏曲よりアリア
07 ゴールドベルグ変奏曲より1
08 ゴールドベルグ変奏曲より5
09 ゴールドベルグ変奏曲より7
10 ゴールドベルグ変奏曲より9
11 ゴールドベルグ変奏曲より19
12 ゴールドベルグ変奏曲より20
13 ゴールドベルグ変奏曲より24
14 ゴールドベルグ変奏曲より30
15 ゴールドベルグ変奏曲よりアリア
16 反射2
17 アダージョ
18 ワルツ10番
19 夜想曲2番


佐藤紀雄、山下俊輔による本格派クラシックギターデュオ「どっと。」

二人の出会いは18年前。師弟として始まった。佐藤紀雄は現在世界を見渡しても他に類を見ない誰も成しとげていない、クラシックギタリスト枠を超えた音楽家としての活動経歴が光る。そんな師匠から学だ山下俊輔はこれま+Y3:BA23JAZZ、ポップスなど多種多様な音楽活動を行い、作曲家としても様々な業界から認められている。
「どっと。」のコンセプトは「世界を驚かす日本発のクラシックギター作品を作る。」こと。これは年齢や経験の違いはあれ、二人とも国内に留まらず国外のフェスティバルへの参加や単独コンサート行い、世界での反応や各国の基準を肌で感じてきたからこその発想である。
アルバムの選曲は全て二人で行なった。まず目に留まるのはピアノ、オーケストラ、弦楽6重奏など大半がオリジナル作品がギター曲でないことである。タレガ、ジョン・ウイリアムスなどこれまでギターの巨匠達も同様にアレンジしてきているが、佐藤紀雄のアレンジはそれらに勝ると劣らない発想と構成でオリジナル作品を活かしながら作られている。ギターデュオの為に書かれたオリジナル作品は久石譲のミニマル音楽とアタナス・ウルクズノフの現代音楽の2曲。久石譲の作品は1小節もお互いの拍子を共有しない曲で、とてつもなく集中力が必要な曲である。余談だが久石譲と佐藤紀雄はお互い若い時代にミニマル音楽で演奏しており、佐藤紀雄はこの作品で音を出した瞬間「懐かしい」と当時の事をおもいだすという。ウルクズノフの作品は冒頭から特殊奏法を使い、新しいギターの響きを創出し、中盤では高等なアンサンブル技術を組み込んだ面白い作品になっている。
師弟関係でもある二人だが、それを感じさせない個性のぶつかり合いを表現しているのがこの作品の特徴である。 メロディーがそれぞれの曲で入り乱れ、お互いの音をぶつけ合い、そうすることによってさらに渦を巻いた音が立体的で深い音となり混じり合う。「どっと。」この音の響きを堪能していただきたい。


コンテンポラリーギター界、孤高の巨匠、佐藤紀雄と、ボーダーレスなギターマン山下俊輔がタッグを組んだ。これはクラシックギターのみならず、日本のギター界における一大事件だ。
ワタクシ事になるが、佐藤さんとは1991年に、武満徹音楽監督による八ヶ岳高原音楽祭《秋のギター》で共演。佐藤紀雄といえば数々の現代音楽作品の初演で名高い。僕も気を引き締めて臨んだものの「もっとちゃんと弾けよ〜」と怒られるのでは…と内心ビビっていたが、実は優しくお導きいただき、エグベルト・ジスモンチの難曲をも何とか弾きれた。そのイベントを通じて氏の音楽読解力の深さ、クールかつパワフルなギターのサウンドには圧倒された。
山下くんとは2017年、彼のホームベース高知でのコンサートにゲストで呼ばれ、入念なリハーサルを行ったのが出会い。様々なジャンルのギターテクニックやラスゲアードを駆使して、ストーリーを熱く語るように奏でる彼のギターは《日本から世界へ》を目指している気概が感じられた。
彼らのファーストアルバム《A LA CARTE》の音源を聴いた最初の印象は「何だ! この分厚いサウンドは! 」だった。二台のギターの旋律が目まぐるしく交錯する、圧巻の《ゴールドベルグ変奏曲》と《主題と変奏》。佐藤編曲による《愛の喜び》やショパンの作品は、この楽器の響きを知り尽くした者だけが到達できる桃弦郷。久石譲の《揺れ動く不安と夢の球体》(氏にこういう世界があるのは初めて知った)や、アタナス・ウルクズノフの《Reflet 2》では、これこそこのデュオの真骨頂! と思わず唸る。スピードとダイナミクス、緻密かつ丹念に組み上げられた音のご馳走。フルコースで全曲通して聴くと、どっとお腹が一杯になる。ところが何故か再びアラカルトで、好きな一品を手に取って(耳にとって)賞味したくなるからアラ不思議。この素晴らしいユニット《どっと。》を早く生で味わいたいものだ! !

ギタリスト 渡辺香津美

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